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日本の装身具ハンドリングゼミ 第15回

ここでは、会員のゼミでの感想や気づいた点、意見、お寄せいただいた図書資料情報などを掲載します(順不同)。


角元 弥子 さん

大正・昭和時期の束髪用髪飾りをハンドリングさせて頂きました。
それまでの時代のものと比較すると、ライフスタイルの変化が想像できて楽しかったです。

この時代の文学作品などで、ひとりの女性が和装と洋装を使い分けるライフスタイルをみることができますが、今回拝見した髪飾りもどちらにも対応できるようなデザインのものが多かったです。

櫛は立体的になり、櫛歯の形も工夫され、髪を油でがっちり固めて「お出かけ」が一大事だった時代のものと明らかに違う実用性が見られます。

蒔絵に着目すると、花鳥風月のデザインから抽象的な文様へ変化しています。

また貝をポイントとして使うのではなく、螺鈿加工そのものがデザインの主役になっているものが多いです。職人が素材を入手しやすかったのでしょうか。

束髪櫛(8)は、薄貝を通してべっ甲のフが透けて見え、透明感が流水紋に調和して美しかったです。

束髪櫛(7)は、江戸期にはなかった白い漆を使っており、コントラストのある配色が現代的でした。

ちなみに、白い塗料一般に20世紀初め頃から酸化チタンが使われ始めたようですが、「白い漆」も酸化チタンの普及により実現したものです。
天然の漆は精製しても透き通った茶色なので、天然の漆を使った「白い漆」は、真っ白ではなく「うすいベージュ」どまりです。



青木 千里 さん

今回も見ごたえのある作品が多く、皆さんのそれぞれの視点からのご意見も興味深くてとても勉強になりました。ありがとうございます。

この頃の作品は欧米の宝飾技術をすっかり我がものとした域に達したように思います。

束髪簪(1)の星型はパーツに分けて組むことにより、僅かな高低差で立体感を表現しています。ピシッと正確なロウ付けと星の尖りが美しい。

束髪簪(6)は宝石の下方の二重の弧がミル打ちと窪みをマットにすることで、上部の石を引き立たせています。

束髪簪(7)は二つの楕円の交差部分は立体的にパーツを組み合わせています。

いずれも、ともすれば平面的に陥りやすいところを工夫を凝らして立体感を与えています。西洋の物のような実際に具体的な高低差や奥行きの違いがあるのとは異なるものです。
少しの陰影で空間を感じさせる和の表現を感じました。


中村 園子 さん

今回もとても貴重でステキな櫛、簪を見せていただき感動しました。
全体的には、昔と比べアウトラインが自由になった感じがします。(櫛の直角の丸みのない形や、簪の左右に大きくバランスを変えたデザインなど) 伝統的なデザインをアレンジしたのか分かりませんが、ポップなデザインのものもあり、現代のセンスに近づいてきたのを感じます。

螺鈿細工はどれも素晴らしく、螺鈿の色や大きさ、使い方をよく考えているなと思いました。
束髪櫛8番の螺鈿は特に細かく、技術的には大変すごいと思いましたが、あそこまで小さくなると光の分散が小さくなり、 螺鈿のキラキラした良さが少し減ってしまうように感じました。
束髪櫛4番のべっ甲の透かし彫りはとても繊細で、これを作った職人さんは自分の限界に挑戦して楽しかったのではないかと勝手に想像していました。
束髪櫛3番は、螺鈿のように細かい金を貼っていて、労力を考えると職人さんのこだわりが見えました。
デザインにも段差があって髪につけた時に映えるのではないかと思いました。

櫛も簪も素晴らしいものばかりで、作った人の情熱に圧倒されました!


宮坂 敦子 さん

束髪簪を裏側から見ると、ピンの部分の根元(飾りと接する部分)が回転式になっていて「何故だろう」と不思議でしたが、洋髪にも日本髪にも使えるようにするための工夫と伺って腑に落ちました。

意匠の面では、洋を取り入れつつも和的に、日本ならではの感性で昇華させていることが見てとれますが、作りの面も同様に、日本ならではの工夫を凝らしている点が素晴らしい(たくましい)と思いました。

束髪櫛(3))は螺鈿が虹色に輝き、束髪櫛(1)(2)(3)は象嵌が美しく、昔の人はお洒落だなあとあらためて感じました。

先生に教えていただいた「櫛の歯の形でつくられた時代が分かる」ということも たいへん勉強になりました。ありがとうございます。


奥田 文子 さん

今回も様々なタイプ櫛と簪を見せていただき、ありがとうございました。
素材が高価なべっ甲からアルミ、セルロイドまで多様性があり、それぞれが魅力的なことに驚きました。
それぞれの作品に、職人さんの技術の高さ、志の高さを感じました。

束髪櫛(1)〜(3)の象嵌の美しさには、ため息が出ました。

束髪櫛(6)(7)のキラキラした細かい螺鈿は新鮮でした。

束髪櫛(4)は繊細な透かし細工に感動しました。

束髪簪(1)(2)は見るのを楽しみにしていましたが、想像以上にすばらしい芸術品でした。
現代にも髪飾りのジュエリーがあればいいのにと思います。

時代による櫛の形の変化や蝶番を用いた簪、チューリップやバラなどの洋花がモチーフとした使われるようになっとお話も、大変興味深かったです。


八向 志保 さん

今回はとても美しく、精巧なものが多く感じました。

文化の変化、たとえば西洋文化の流入や西洋との技術の交換が進んでいること

また様々なデザインに関する情報交換などの雰囲気も感じられました。

また、この時代を象徴する宝飾品店の名前も、この時代になると現代に残っているのですね。たとえば鼈甲の炭屋、高級袋物商の壺屋、丸嘉、天賞堂などいくつか名前が出てきており、勉強になりました。

4番や5番のべっこうの櫛については、これまで以上に精巧で美しく感じました。

また天賞堂からの寄贈品について、贅を尽くした品々は圧倒的でした。


山崎 真紀子 さん

今回も素敵なものばかり、楽しませていただきました。天賞堂さんの三点は特に素晴らしかったですが、ほかのものもすっきりとして大胆なデザインで、きっと髪に挿すと映えたのでしょうね。
櫛や簪も明治期のは江戸時代からのつながりが色濃く文様や技術も現代とのつながりは少ないものと感じましたが、今回の大正・昭和期のものは今のものと言われても納得できるようなデザインのものばかりでした。露木先生が関東大震災が時代の転換点とおっしゃっていましたが、着物でも大正時代のものは洋花が大きくあしらわれるようになり西洋の影響が大きく感じられるので、ファッションの流れとしては共通していることが分かりました。

また、束髪簪17の模様についてですが、かりがねも、かりやガンの別名でよいようです。かりがねは群れと言いましたが私の勘違いでした。大変失礼いたしました。鳴く声(「雁が音」)から来ているようですね。 大辞泉より


津留崎 千勢 さん

私は簪職人を目指し、主に歌舞伎や舞台の簪を作る職人に師事しております。

弟子入りして間もなく、元来簪は挿頭(かざし)と呼ばれ 、花や草木を頭に装飾することで 魔除けや幸いを呼ぶための呪術的な意味をもつものだったことを知りました。
事実、私が日頃工房で目にするものや、師匠が作るものの多くは、日本髪につけるような動植物をモチーフとした和の簪です。
この度のハンドリングゼミで拝見した簪の多くは、機能的でデザインもシンプルに洗練されており「ジュエリー」と呼ぶのが相応しいものばかりでしたが、動植物や自然の紋様の簪に挿頭の名残を感じました。
装いの変化に伴って簪は形を変えましたが、日本の美意識が失われることなく変化した様子が伺えました。
ハンドリングゼミで素晴らしい簪を直接拝見して、いつか 伝統工芸としての簪にジュエリーとしての簪の要素を加味して、簪の歴史の一部分を構築出来るような職人になりたいという思いがより一層強まりました。
まだまだ知らないことばかりなので、大変貴重な勉強の場に参加させて頂けることを心から感謝しております。本当にありがとうございます。

なお、束髪櫛12に描かれている花はムクゲではないかと思うのです。Wikipediaの情報ですが、インドや中国が原産国で 日本には奈良時代に入ってきた花だそうです。


渕上 清志 さん

今回のゼミから参加させていただくことになりました。
戦前の装飾品、そしてべっ甲製品、櫛、かんざし類を、今まで一度に多く見たことがありませんでしたので、自分の中でまだ整理がつきませんが、時間と共に咀嚼できればと思いました。

・今回見させていただいた品々はどれもコンディションが大変良いものでした。このコレクションが単なる収集ではなく、いかに厳選されたものであるかが想像できました。

・櫛の形によって、大正のものであるか、昭和初期のものであるかが判別できるのが驚きでした。先生や、皆さんの会話の中に、19**年など、具体的な年がよく出ていたのが印象的で、各時代の出来事、流行、デザインセンス等への理解度の深さがあってこそジュエリーを深く理解できるのだ、と思いました。

・珊瑚は経年感を感じられたのに対して、鼈甲は100年近く前の品物であるという経年感をあまり感じることができませんでした。べっ甲という素材の経年に対する強さや美しさの魅力を改めて知ることができました。

・蒔絵、螺鈿、象嵌、透かし等、様々な技法で精緻に飾っている手の込んだ作品が大変印象的でしたが、その反面、アルミニウムや、セルロイドの製品なども存在し、それらは古いおもちゃのような可愛らしさもあり、その時代の持つ味わいという魅力が感じられました。

普段手にすることができないものを見せていただいたことと、皆様との会話は、大変良い刺激となりました。ありがとうございました。


岡本 有紀子 さん

今回の大正から昭和初期の装身具、束髪用髪飾りは、まだ和装が主流でありながら、変化していくライフスタイルや流行の髪型に合わせて、和にも洋にも馴染む雰囲気や、自由で大胆なデザインが増えたのが印象的でした。
また、洗練されながらも古典的なデザインも存在していて、当時の世界情勢から影響を受けながら、ファションと装身具の素材やデザインが多様化していく様を知ることができました。

個人的には、束髪簪3の緑鮮やかな美しい翡翠、束髪櫛4、6、7の細やかな細工を追求した、職人さんのこだわりと根気の作りに目がとまりました。
また束髪簪1、2の寄贈品は、作品の豪華さと美しさに加えて、先生が譲り受けられた経緯のお話が非常に興味深かったです。

のちの戦争で、装身具どころではなくなる激動の時代を迎えるからでしょうか。
この時代を彩った装身具が、私にはより一層華やかに見えるような気が致しました。

戦争によってたくさんの命と共に、多くの装身具もまた、政府の買い上げや戦火によって姿を消したことを思いますと、ハンドリングさせて頂いている装身具は本当に数少ない貴重な史料だと改めて実感致します。

今回も貴重な作品をたくさん鑑賞させて頂きましてありがとうございました。


小宮 幸子 さん

前回のハンドリング同様、アールヌーボー、アールデコの様式に影響されたデザインが簪に多く見られたように思います。中でも天賞堂の3点は素晴らしく、翡翠の束髪簪(3)が印象に残りました。 翡翠の品質と、その素材を生かすデザイン、カーブの角度など細部まで考えられた丁寧な作りは、当時も大変貴重な、高価なものであったことを感じさせました。

また、簪に蝶番が付けられ、角度に変化をつけられるように細工されているものがいくつかあり、和装と洋装が混在する時代であったからこその工夫であると思います。

今回初めてアルミニウム製簪「ニウムピン」を拝見しました。少々粗い作りですがボリュームがあり、ラインストーンが華やかに見えただろうと想像されました。昭和初期に流行し、女給さんがつけていたそうですが、現代でも若い女性が大振りのアクセサリーをファッションの一部として楽しむような感覚と同じものを感じました。



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